TOP > クール寝具の選び方 > 冷感枕カバー・枕パッドの比較
クール寝具の中でもっとも手軽に試すことの出来るのが、枕カバー・枕パッドの交換ではないでしょうか。価格が手ごろでサイズも適度に小さいので、家族分のカバー・パッドを購入しても経済的負担は小さいですし、季節が変わって押入れにしまうときも邪魔になりませんからね。
ですが枕カバーや枕パッドといっても、綿生地にパイル地・速乾素材・冷感素材・冷却ジェルなど、さまざまな種類が販売されており、どれが涼しく感じられるのかわかりにくいと思います。そこで各種枕カバーや枕パッドを実際に購入し、寝比べてみることにしました。はたしてどの枕カバー・枕パッドが、暑い夏の夜を快適に眠れるようにしてくれるでしょうか?
まず最初のレビューは、管理人が普段から使っている枕とそのカバーの説明から始めたいと思います。管理人が使っているのは、昔ながらのそばがら100%の枕で、枕の生地とカバーは綿100%で出来ています。そばがらは通気性や吸水性に優れていることから、日本では定番の枕ですね。
管理人は枕との相性が悪く、パイプ枕や綿100%枕・低反発枕などいろいろな枕を試しましたが、自分に合う枕をなかなか見つけることが出来ません。結局現在の枕が一番しっくり来るということで、かなり長いこと使い続けています。
(そばがら枕の寿命はだいたい1年らしいですが、もう10年くらい使ってます)
カバーも枕に最初から付属していたものを、今でも使い続けています。途中パイル地の枕カバーを購入して付けていた時期もありますが、取り付けゴムが伸びてしまったのか、それとも古くなって汚れてしまったのか、いつの間にか捨ててしまい今はまた元の枕カバーに戻っています。
この枕カバーは、綿の生地で出来たごく普通の枕カバーです。綿なので汗を吸ってくれますし、少しですが通気性もあり、特に蒸し暑さを感じたことはありません。ただし暑い日は、枕にこもった熱がカバーごしに伝わってくるので、決して涼しい枕という訳でもありません(普通に暑いです)。
今回はこのそばがら枕と綿のカバーを基準として、各種冷却枕カバー・枕パッドを比較したいと思います。はたして枕カバー・枕パッドの交換で、どれくらい涼しく感じることが出来るようになるでしょうか?
管理人が昔から使っている、そばがら枕
実は洗濯のし過ぎで、一部ほつれています
まず最初に紹介する枕カバーは、綿100%のパイル地枕パッドです。パイル地というのはタオルの生地のことで、起毛が汗を吸収・放湿してくれることから、昔からクール寝具として定番の枕パッドといえます。実際に管理人も昔は枕にタオルを巻いたり、枕パッドを取り付けて暑さ対策をしていました。
それではこのパイル地枕パッドの使い心地ですが、可もなく不可もなく、あまり普段(綿のカバー)と変わりません。特に涼しく感じるとか、蒸し暑さが軽減されたとか、汗をよく吸うようになったとか、そういったことはまったくないです。いつも通り、枕にこもった熱が伝わるのが少し鬱陶しいのも同じです。
パイル地は吸水性に優れているので、頭部や首筋の寝汗が多い人には有効な枕パッドではないかと思います。また自然繊維の綿は体に優しいので、現在の枕の肌触りに不満のある人にも、向いていると思います。ただしパイル地の枕パッドを取り付けると涼しくなるかというと、そんなことはありません。
パイル地の枕パッドは、寝汗の不快感を改善するのに向いた寝具で、これを着けたからといって特に涼しくなるというものではないようです。ただし現在頭部の寝汗で蒸し暑さに悩まされている方は、このパイル地の枕パッドを使えば蒸し暑さが改善されるかもしれませんので、試す価値はあると思いますよ。
販売店で詳しい説明を見ることが出来ます
(リンク先:楽天)
今回の枕パッドは上記リンクと違う店で購入
次に紹介するのは、吸水速乾性をうたい文句にするドライ枕パッドです。このドライ枕パッドは、表面生地の43%を占める綿で汗を吸い、残り57%を占めるポリエステル異形断面糸で放湿するという仕組みで、汗をよく吸収すると同時にすばやく放湿することで、快適な寝心地にしてくれる枕パッドです。
それでは実際にドライ枕パッドを使ってみた感想ですが、暑いです。明らかに最初の付属枕カバーやパイル地枕パッドよりも、枕からの熱を感じます。汗でベタつくとか蒸し暑いといった不快感はなく、むしろサラサラの手触りはものすごく気持ちいいのですが、それでもやっぱり暑いです。
どうしてドライ枕パッドを使うと暑くなるのか、管理人が考えるに詰め物のせいではないかと思います。というのは、最初に紹介した付属枕カバーは単なる綿の生地で、詰め物が入っていません。また先ほど紹介したパイル地の枕パッドも中身はスカスカで、表面のパイル地と裏面のガーゼしかありません。
一方で今回のドライ枕パッドは、多くはありませんがちゃんと詰め物がしてあり、触れば違いが(見た目でも厚さの違いが)はっきりとわかります。この詰め物自体が熱を溜め込むか、もしくは枕にこもった熱に蓋をする形になり、さらに枕に熱を溜め込んでしまうのが暑さの原因ではないかと思います。
ドライ枕パッドは汗の吸収や放湿性に優れているかもしれませんが、枕から伝わる熱が増えるようでは残念ながらクール寝具として認めることは出来ません。今後枕パッドを選ぶ上で、詰め物の量も選ぶ際の基準に取り入れておいた方が良いかもしれないと思いました。
販売店で詳しい説明を見ることが出来ます
(リンク先:楽天)
今回購入した枕パッド。表面はメッシュ
次に紹介するのは、接触冷感素材「ソフトクール」を使った枕パッドです。接触冷感素材とは、触れただけでひんやり感を与えてくれる新素材のことで、このソフトクールは特殊繊維の中に練り込まれた鉱石が熱を奪い、ひんやり感を与えてくれるという新素材となっています。
それでは実際にソフトクール枕パッドを使ってみた感想ですが、暑いです。明らかに、先ほどのドライ枕パッドで感じた暑さを、このソフトクール枕パッドからも感じます。また接触冷感素材としてのひんやり感も、まったく感じることが出来ません。ただただ、枕にこもった熱を感じるだけです。
今回のソフトクール枕パッドと、先ほどのドライ枕パッドの共通点は、やはり詰め物です。どちらもそれほど多くはありませんが、それでもはっきりとわかる量の詰め物がしてあります。この詰め物が原因とは断定できませんが、他に共通点がありませんので、おそらく詰め物が原因ではないかと思います。
価格的に見ると、詰め物のないパイル地の枕パッドがもっとも安く、ついでドライ枕パッドが少し高くなり、さらに接触冷感素材を使ったソフトクールがもう少し高くなっています。価格が高くなるほど詰め物がしっかりして、その結果暑くなってしまったとしたら、何とも皮肉なことだと思います。
今回購入した枕パッド。価格は\800-くらい
生地は普通で、メッシュ構造ではありません
次に紹介するのは、先ほどと同じ接触冷感素材「ソフトクール」を使った枕カバーですが、今回のソフトクール枕カバーは表面生地のみで、裏生地も詰め物も存在しない一枚ものとなります。枕カバーと言っても、これまでのパッドと同じ表面をゴムバンドで留めるタイプで、全体を覆うカバーではありません。
それでは実際にソフトクール枕カバーを使ってみた感想ですが、暑くないです。いや、枕にこもった熱は感じるのでまったく暑くない訳ではありませんが、ドライ枕パッドやソフトクール枕パッドから感じたような暑さはまったく感じません。最初の付属カバーや、パイル地の枕パッドの暑さに戻った感じです。
では接触冷感素材としてのひんやり感はどうかというと、残念ながらこちらはまったく感じませんでした。いや、より正確に言うと、枕にこもった熱が伝わってくるために、ひんやり感がわからないといった方がよいでしょうか。付属カバーやパイル地の枕パッド同様、枕からの熱しか感じることが出来ませんでした。
ただし、これまで紹介した枕カバー・枕パッドをほっぺたに当てると、このソフトクール枕カバーと最初に紹介した付属カバーのみ、熱がこもることがありませんでした。枕からの熱をさえぎることは出来ませんが、熱がこもらないことは確かなようです(付属カバーがどうして熱がこもらなかったのかは、謎です)。
販売店で詳しい説明を見ることが出来ます
(リンク先:楽天)
今回購入した枕カバー。表面はメッシュ
ここから紹介するのは、冷却ジェルを使った枕用のクール寝具になります。これまでの枕カバーや枕パッドが、表面の肌触りや汗の吸湿・放湿性を改善することで暑さを和らげようとしていたのに対し、冷却ジェルは強制的に頭部を冷やすことで涼をとる、かなり強力なクール寝具になります。
それでは今回紹介する冷却ジェルは、冷却ソフト枕になります。ソフト枕の名前は2cmほどの厚みがあることに由来しますが、単独の枕として使うには薄すぎるので、枕の上にパッドのように敷くとちょうどよい高さになるでしょう。冷凍庫で冷やしても凍らないジェルなので、柔らかいまま使うことが出来ます。
それでは実際に冷却ソフト枕を使ってみた感想ですが、冷たいです。涼しいや寒いを通り越して、かなりの冷たさがあります(冷凍庫で8時間以上冷やしますから)。このため直接頭部に当てて使うことは出来ないので、タオルなどでグルグル巻きにして、輪ゴムなどで巻いてズレないようにしてから使いましょう。
それではタオルを巻いて再び使ってみましたが、これはかなり快適です。頭部を冷やすだけなのに、まるで全身を冷やしているような錯覚を覚えるくらい、とても快適な気持ちになります。実際には全身汗をかくのでその不快感は消えませんが、不思議と体全体で感じる暑さはかなり改善されます。
持続時間は4~8時間とのことですが、管理人が使った際には朝には常温に戻っていました。というより、いつの間にか枕から滑り落ちていたので、特に常温に戻ったときの不快感などはわかりませんでした。常温のジェルが温かく感じる人は、管理人のように寝ている間に外して(外れて?)しまうとよいでしょう。
冷却ジェルは冷蔵庫・冷凍庫で冷やすという手間はありますが、その涼しさには絶対的な効果があります。またタオルを巻くのを加減すれば、涼しさをコントロールできるという点でも、子供からお年寄りまで万人にお勧めできる製品だと思います。価格も安いので、お試し購入に良いのではないでしょうか。
販売店で詳しい説明を見ることが出来ます
(リンク先:楽天)
裏表でカバーが違い、冷たさも違います
最後に紹介するのは、冷却2WAYひんやりマットです。2WAYというのは、裏表で厚手のメッシュと薄手の綿というように素材が異なり、伝わる冷たさを選べることから来ています。またこの製品には枕に留めるゴムバンドがついているので、寝ている間に枕から外れるようなこともありませんよ。
それでは冷却2WAYマットを使ってみた感想ですが、冷たさの伝わりにくい厚手メッシュでは若干物足りなく、逆に薄い綿生地だと少し冷たすぎて、タオルを一枚足してちょうどよい涼しさになりました。先ほどの冷却ソフト枕ほどの冷たさはありませんが、枕パッドとしてはこちらの方がちょうどよい冷たさです。
この冷却2WAYマットはかなり薄く、含まれるジェルの量もかなり限られた量となります。このため保冷時間は2時間前後だと思うのですが、涼しさが気持ちよくてすぐに寝付いてしまったため、正確な時間はわかりませんでした。ただ寝付くときだけに涼が必要なのであれば、十分な時間だと思います。
冷却2WAYマットの使い勝手に関して特に不満はないのですが、一点気になったのが衛生面に関して。この冷却2WAYマットは洗濯が不可で、手入れ方法はふき取りのみとなります。ですが汗にまみれる綿生地や、汚れの溜まりやすいメッシュを、そのまま洗わずに冷蔵庫に入れるのには抵抗があります。
冷却2WAYマットを使う人は、チャック付きビニール袋(A4サイズ以上)に入れてから冷蔵庫で保冷するようにしましょう。またタオルを巻いてカバーにして使えば、タオルは自由に洗えるので衛生面を少しは改善できると思います。商品自体は良いので、工夫をして使うとより実力が発揮できると思います。
販売店で詳しい説明を見ることが出来ます
(リンク先:楽天)
表面はメッシュで裏が綿。涼しさが異なります
今回の比較レビューでは、繊維素材の枕カバー・枕パッドと、ジェルタイプのソフト枕・枕マットを比較しましたが、それぞれで意外な事実がわかる比較レビューとなりました。まず繊維タイプでの比較では、表面の素材よりも詰め物の有無で枕から感じる熱さに違いがあることがわかりました。
管理人としては表面の肌触りや、冷感素材などの特殊繊維が枕の快適さを左右する要素になると思っていたので、この詰め物による差というのは予想外の結果でした。ただし、今回は室温が32度以上あるかなり暑い夜に試したので、恐らく涼しい夜ならば表面素材が快適さに大きく影響したと思います。
ですので枕カバーや枕パッドを選ぶ際は、表面素材と詰め物の量で選ぶのが良いのではないかと思います。この両者を満たす枕カバーとしては、特殊繊維を使ったソフトクール枕カバーがお勧めになります。涼しければひんやり感が気持ちよく、暑くなっても枕に熱のこもらない優れた枕カバーです。
あと、枕パッドの詰め物が暑さに関係するのなら、枕の詰め物(素材)も大きく関係してくると思います。管理人は一時期、低反発枕を使っていましたが、通気性の悪さから蒸し暑くなるので使うのをやめた経験があります。通気性の悪い枕を使っている人は、まずは枕の見直しから始めた方が良いでしょう。
次にジェルタイプのソフト枕・枕パットについてですが、こちらでは使い勝手がとても良いことに驚かされました。管理人は過去に保冷剤を枕パットの代わりとして使ったことがありますが、凍るので固いし、溶けると水滴がたくさん付くしで、とても使い難くて苦労した経験があります(それでも頑張って使いました)。
そのためジェルタイプの枕パットにも否定的でしたが、今回の比較で考えを改めました。ジェルタイプの枕パットは、とても使い勝手が良くて便利です! 冷やしても凍らないので柔らかいままですし、水滴もほとんど出ないので水浸しになることもなく、そして何よりひんやりとした冷たさがとても快適です!
今回のレビューから、通気性の良い枕にソフトクール枕カバーを付け、その上にタオルを巻いた冷却ソフト枕を置くのが理想の熱帯夜対策と思いました。寝付くまでは冷却ソフト枕で強制的に冷やし、寝付いた後はソフト枕が寝返りを打つ間に外れるので、朝方はソフトクール枕カバーが熱をこもらせません。
どうでしょうか、管理人はこの組み合わせがもっとも使いやすそうだと判断しましたが、皆さんはどのように思いますか? クール寝具は一つで対策が終わるのではなく、いくつかのクール寝具を組み合わせて使うことでより効果が高まります。皆さんも、自分にあった組み合わせを考えてみてはどうでしょうか?
以上、「冷却枕カバー・枕パッドの比較」についてでした。今回のレビューはあくまで管理人個人の感想なので、万人に向いた評価ではありません。ですので文章を鵜呑みにするのではなく、皆さん自身に置き換えて現在使っている寝具や部屋の環境・暑さの感じ方の違いなどを考えながら読んでいただければと思います。
さて、クール寝具の比較はこれで終わりとなりますが、みなさんは自分に合うクール寝具を見つけることが出来たでしょうか? パイル地のクール寝具は安い上にかなりの効果も期待できますし、冷感素材の繊維なら価格は高くなりますが更なる効果も期待できます。また冷却ジェルを併用すれば、さらに快適な熱帯夜対策も出来そうですよね。
今回はさまざまなクール寝具の比較レビューを行いましたが、このレビューが皆さんの寝具選びの助けとなればとてもうれしく思います。どうかみなさんが自分にあった最適の寝具を見つけ出し、快適な夏の夜を過ごせるようになりますように!